台風一過、建物の中や車中は、日差しが痛いぐらいだが、朝夕はグッと空気の冷たさを感じる。
　朝、庭の金木犀が小さい花を付けている。夕方、どこかの台所で焼きサンマの焦げた油のにおいが漂ってくる。休日の日中、花火が上がり、近所の学校の運動会のアナウンスが聞こえる。「赤団頑張れ。白団負けるな。」そして、子供たちの歓声。
　小学生の頃は、学級でミカンやナシを売っていて、現物ではなく引換券を貰った。その引換券で運動会の日にミカンと交換する。袋に入れられたミカンは青々として、袋に顔を突っ込んで思いっきり息を吸うと、清々しいというより、苦いような青臭いにおいがした。そして、そのミカンの酸っぱかったこと。
　匂いは思い出を連れてやってくる。思い出に浸るという名目ができたので、今日は、さんまの塩焼きにビール。いかがでしょうか。　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｋ2